潰瘍性大腸炎とは

By admin, 2011年10月22日

はじめに・・・
IBDと診断された時、今までに全く聞いた事のない病名に戸惑いました。
カルテに「びらん」と記入されて、一瞬頭が真っ暗になったことを覚えています。
「IBDチーム医療ハンドブック」を一番に購入したものの、一度も読めことなく本棚の隅っこに押し込んでいました。

2012年1月でちょうど5年半です。
2011年10月に2度目の再燃。
20年前に祖母が膠原病の疑いのまま他界。
2011年夏には母も膠原病の系統の病気にかかりました。
先日、他の持病も含めて遺伝的な感じが強いので奇跡的にも完治は無理だろうとお医者様に言われました。
完治の希望を持っていたのは友人が十数年前にUCになり、現在は完治して2児の母親をしているからです。
治らないのかという諦めと、病気に負けたくない気持ちで「IBDチーム医療ハンドブック」に手を伸ばしもう一度自分なりにまとめてみました。

体質の問題で以前ステロイドで大変な目に合い、その後ステロイドに強い副作用を起こすことが解ったので治療には出来る限りステロイドを使わない方向です。
まだUC治療でのステロイドは使っていません。

※専門用語は自分が読み返したい時に解りにくいので意訳してあります。
IBDとは
Inflammatory bowel disease 炎症性腸疾患
・ 広い意味では潰瘍性大腸炎(UC)とクローン病(CD)を合わせてIBDという。
・ 狭い意味では腸管に炎症を起こす疾患を総称して用いている。

UCとは
ulcerative colitis 潰瘍性大腸炎
・ 原因は不明であり、主に若年層に多く発症する。
・ 持続性または反復性の粘血下痢をきたし、免疫学的に異常をきたした疾患。
・ 再燃と緩解を繰り返す難治性の炎症疾患。
・ 根治療法はなく、内科治療は対症療法。(手術は根治療法)

CDとは
Crohod’s disease クローン病
・ 原因は不明であり、主に若年層に多く発症する。
・ 腹痛、下痢、発熱をきたし、腸管粘膜に対する抗原刺激に対応する免疫的機序が推定されている疾患。
・ 腸潰瘍は深く難治な為、瘻孔(ロウコウ・痔ろう)や狭窄(すぼまって狭いこと)を生じることもある。

「UCの判断基準」
UCの定義…
主として粘膜を侵し、しばしばびらんや潰瘍を形成する大腸の原因不明のびらん性特異性炎症。
診断…
1・持続性、反復性の粘血下痢便があること。
2・下記項目の内、1つを満たすこと。
・ 内視鏡検査でびまん性、直腸から連続性にびらん、潰瘍あるいは連続性ポリポーシスを認められる。
・ 病理組織学所見で粘膜の炎症性変化を伴ったびらん、潰瘍、陰窩膿瘍crypt abscess、腺の配列異常を認める。
・ 注腸x腺検査でびまん性連続性に細顆粒状、びらん、潰瘍、あるいはポリポーシスを認める。ハウストラ消失(鉛管状陰影)棘針状陰影もみられる。
・ 摘出標本にて肉眼的および組織学的に本症の特徴的な所見を認める。
※ さらに感染腸炎やクローン病など除外する必要がある為、細菌培養や病歴の慎重な聴取が必要。

「UCの用語説明」
・再燃とは
病状の進行が止まっていた、または軽快していたが再び進行し始めること。UCでは病変が増悪して正常となっていた粘膜に新しく病変が生じる事のこと。⇔緩解・寛解

・緩解とは
カンカイ(緩解・寛解)。症状が一時的、あるいは断続的に軽減した状態のこと。再発の危険性のある難治の病気療法で使われる。UCでは血便・下痢・粘血便の症状がない状態。⇔再燃

・びまん性とは
病変がはっきりと限定することができず、広範囲に広がっている状態のこと。

・びらんとは
皮膚や粘膜の表面に出来た、ただれた皮膚の状態のこと。

・潰瘍とは
皮膚、粘膜層において上皮組織の部分欠損が深部に及んでいる状態のこと。

・ポリポーシスとは
粘膜表に無数のポリープが一面に発生すること。血便や腹痛をきたし癌化することも少なくない。

・細顆粒状(さいかりゅうじょう)とは
炎症によって腸粘膜が滑らかではなくなり、ざらざらになっている状態のこと。

・ハウストラ消失(鉛管状陰影)とは
大腸の大きな壁(ハウストラ)が消失する状態のこと。

・棘針状陰影(spicla)とは
調べてみましたが検索できませんでした。
Spiclaとは棘(とげ)棘状の突起という意味。

・粘血膿性の分泌物とは
炎症に伴って生じる粘液、血液、膿がまじった大腸の壁に付着する分泌物のこと。

・偽ポリポーシスとは
腸粘膜が炎症を起こして一部がはがれ落ちることにより、残った部分がポリープのようになった状態のこと。

・粗ぞう(そぞう)とは
腸粘膜が炎症によって細かい凸凹になっている状態のこと。

「IBDに使われる薬」
・ 治療の基本は薬物療法であり、範囲と重症度合いにより治療方針が異なる。
・ 治療の目的は再燃活動期では、炎症緩解への早期導入、緩解期(寛解期)では再燃の予防と考える。
・ 重症例や難治例では、全身障害を伴うことが多く、全身的管理が重要視されている。

5-アミノサリチル酸製剤
・ 5-アミノサリチル酸製剤(5-ASA:ペンタサ)は治療に用いられることが多い。
・ 5-ASAはT細胞・マクロファージーに作用してインターロイキン(IL)-1,2,6の産生を抑制する。
・ ペンタサ(メサジン)の保険適応は1日1,5~2,25グラム。
・ ペンタサはスルファピリジンを含まないため、男性不妊や尿の着色は起こらない。
・ サラゾスルファピリジン(SASP:サラゾピリン)による男性不妊は薬を中止すれば3ヶ月程度で回復する。
・ サラゾピリンは溶血や無顆粒球症、肝機能障害も起きる場合もあるので定期的に検査を行う。

アサコール

ステロイド(副腎皮質ホルモン)
・ リンデロン坐剤は軽症で使用し、副作用は少ない。
・ 副作用に、にきび・ムーンフェイス・多毛症・消化器潰瘍・骨粗鬆症・大腿骨頭壊死・関節炎。傷の治りが遅い、血が止まりにくい。耐糖機能異常、感染症、精神異常。ステロイドの減量段階で離脱症状が起きる場合もある。
・ 注腸剤にはステロマ・プレドネマ。経口薬に比べて副作用は少ない。急性期症例や発赤、腫脹が強く顆粒状粘膜を呈する症例には効果的。

免疫抑制剤
・ ステロイドの減量、離脱が困難な場合に併用する。
・ 過剰な免疫反応を抑えることにより、出血を抑える。
・ 副作用に、白血球減少・胃腸症状・膵炎・肝機能障害があり、リスクの高い薬である。
・ イムラン・ロイケリン・サンディミュン(シクロポリン)・タクロリムス・プレドニン(プレドニゾロン)

漢方薬
漢方薬は緩和維持、軽症、中等症状の時に薬と併用して用いる。

大建中湯(ツムラ・コタロー)
・ 腹痛・腹部膨感・腸管蠕動促進に用いる。
・ 即効性がある。
柴令湯(ツムラ・カネボウ)
・ 抗炎症作用・ステロイド増強作用・免疫賦活性化作用などがある。
・ プレドニゾロンの減量・離脱・副作用軽減のため、1日7,5グラムを投与する。
人参湯(ツムラ・カネボウ・その他)
・ 腹痛・食欲不振・嘔吐に用いる。
・ 1日7,5グラムを投与する。

その他の薬
1・エパデール(イコサペント酸エチル)
・ 抗炎症作用による緩解維持に用いる。
・ w-3系多価不飽和脂肪酸からロイユトリエンB-4を産生する。
2・対症療法薬
止瀉薬
・ 塩酸ロペランド(ロペミン):腸管蠕動抑制作用と腸分泌抑制作用を持つ。
・ 抗コリン剤:腹痛を伴う場合に用いる。
乳酸菌(調整剤)製剤
・ ミヤBM・ビオフェルミン・ビオスリーなど。
・ 乳酸で腸内を酸性にし、病原性大腸炎やアンモニアの発生を抑える。
痔疾患治療薬
・ プロクトセディル軟膏・坐剤(ヒドロコルチゾン・フラジオマイシン)、ネリプロクト軟膏(吉草酸ジフルコルトロン・リドカイン)、強力ポステリザン軟膏(大腸菌死菌・ヒドロコルチゾン)など
・ 抗炎症作用・鎮静作用を有する。

「内科治療」
経口剤
1、 サラゾピリン(SASP)大腸のみに作用する。
・ 大腸に到着後、腸内の細菌により5-アミノサリチル酸(5-ASA)とスルファピリジン(SP)の2つに分解される。
・ 5-ASA・・・大腸の炎症部位で抗炎症作用として働く。
・ SP・・・副作用として、発熱・発疹・頭痛・悪心・嘔吐・食欲不振・倦怠感・男性不妊・溶血性品貧血・肝機能障害を起こす事がある。
・ 副作用は投与後1ヶ月以内に表れる。投与量の増減、中止により軽減する。
・ 欧米での副作用は10~45パーセント、汗・尿が黄赤色になる。

2、 ペンタサ(メサジン)小腸、大腸に作用する。
・ SASPの副作用を取り除き、5-ASAのみをエチセルロース膜でコーティングした。
・ 副作用はSASP (サラゾピリン)に比べて少ない。
・ 投与量に比例して治療の効果は増加するが、副作用は投与量に比例しない。まれに膵炎・間質性肺炎・心筋炎の副作用がある。男性不妊の事例はない。

3、処方
サラゾピリン・・・1日3,0~4、0グラム(1錠500ミリグラム・6~8錠)分3
ペンタサ・・・・・1日1,5~2,25グラム(1錠250ミリグラム・6~9錠)分3

緩解期でもサラゾピリン2,0~3,0グラム・ペンタサ1,5グラム前後を副作用のない限り長期に継続することが望ましい。

4、坐剤
・ サラゾピリン坐剤・・・直腸炎型に有効

5、腸剤
・ ペンタサ注腸・・・5-ASA製剤の内服のみで効果が得られない、左側大腸炎型・直腸型に有効

6、 その他の薬、治療
・ ステロイド剤・・・坐剤・注腸剤・経口剤・静注剤
・ 免疫抑制剤・・・異常に亢進(高ぶっている状態)している免疫力を抑制する作用を持つ。難治性潰瘍性大腸炎の緩解導入、緩解維持の有効性が報告されている。イムラン1日50~100ミリグラム、分1・ロイケリン1日30~50ミリグラム分1。副作用・・・骨髄抑制に伴う白血球減少。

・ 白血球・顆粒球除去療法(cytapheresis)・・・薬物療法でも外科療法でもない新しい治療法。免疫反応を通じて活性化した循環血液中の白血球が炎症の増悪と断続、最終的な腸管粘膜傷害の中心的役割を担っている。活性化した抹消血液の白血球を体外循環装置により効率よく収着分離をさせて体外へ除去する治療法。

参考文献「IBDチーム医療ハンドブック」「潰瘍性大腸炎の診療ガイド」他

2012年1月18日:追記

「しぶり便」とは
しぶり腹ともいう。

便意があっても排便がない状態のこと。
もしくは、排便があっても少量しか出ない。頻繁に便意をもよおす状態の事。

大腸は小腸に続く腸管で、盲腸→上行結腸→横行結腸→下行結腸→S状結腸→直腸に分かれています。
大腸のおもな機能は、水分と電解質の吸収と排便です。
水分の吸収は上行結腸、横行結腸で行われて、下行結腸とS状結腸で便が形成されていきます。

塊になった便塊(べんかい)がS状結腸下部から直腸に進入すると腸の内圧が高まり、排便反射が生じて便意をもよおして排便となります。
排便反射は直腸の刺激によってなされます。

しぶり腹は便塊の刺激で直腸内の圧が高まらず、排便反射が生じてしまい、そのために便が出ないのに便意をもよおしてしまう状態をいいます。

2012年10月11日:追記

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